先日、ともだちの若手和紙職人から、一通の短いメールがきました。
「今日、T先生が亡くなったそうです。」
突然の訃報
T先生とは、私にとっては紙漉きをおそわった師匠であり恩師なのですが、そのTさんが亡くなったという連絡でした。
追記 こちらの記事で触れている先生です。
じつは先月「先生が体調を崩して入院して、いま自宅療養中だからおみまいにいかない?」とかつての和紙講座同期の友人から電話があって数人で自宅まで顔を見にいってきたばかり。
そのときに「なんかなぁ、おれ、胃ガンの末期らしいんだわ」とご本人からの告白がありました。
それがあんまりさらっとで。
まるで「虫歯ができた」くらいの言い方だったから、最初なにを言ってるんだか理解できませんでした。
その場にいた友人たちもみな動揺を隠せず、でもここで悲壮感ただよう会話にしてしまっては先生に申しわけないとばかりに、みなつとめて明るくふるまっていました。
お別れを言いに
そして今日、先生のお通夜へ。
最近の先生のようすを知る友人たちからいろんな話を教えてもらいました。
先生は末期がんだと知ったあとも、ギリギリまで現場に復帰することをめざして抗がん剤で闘病していたそうでした。
私達がおみまいにったときも、抗がん剤治療の休薬期間だったからいくらか元気にみえただけのようです。
お棺のなかの先生は眠っているようで、でも闘病のせいかあきらかに線がほそくなっていました。
かつての、よく食べ、よく飲み、よく笑っていたころの先生とは、まるで別人。
講座で教わっていたとき、ときどき先生といっしょにちかくのトンカツ屋さんで飲んで帰ったことがなつかしく思い出されました。
…そのトンカツ屋さんも、数年前ご主人がなくなって閉店されたと聞くと、なおさらさびしくなってしまうのです。
最後にもういちどだけ、あのおいしいトンカツを食べながら先生と剣菱で乾杯したかったな。
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